11/4 東京オペラシティコンサートホールにおけるアンドラーシュ・シフの演奏会を聴きました。
今回の日本公演のレビューを見聞きするうちに行かなくては!と思い立ったのでした。
今回は前もってのプログラムは発表されておらず、当日シフがそのホール、そのピアノによって弾きたいものを弾くというものでした。
結局のところシフはこのようなプログラムを演奏してくれました。
- J.S.バッハ:カプリッチョ「最愛の兄の旅立ちに寄せて」BWV992
- ハイドン:ピアノ・ソナタ ハ短調 Hob.XVI-20
- J.S.バッハ:半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV903
- ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番 ニ短調 op.31-2 「テンペスト」
*** - モーツァルト:ロンド イ短調 K.511
- シューベルト:ピアノ・ソナタ第20番 イ長調 D959
(アンコール曲) - ブラームス:インテルメッツォ op.118-2
- モーツァルト:ピアノ・ソナタ第15番 ハ長調 K.545から 第1楽章
- J.S.バッハ:イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971から 第1楽章
なんと長いコンサートだったことでしょう。
私は帰りがあまり遅くなるのでアンコールを1曲聴いたところ22時10分ごろだったでしょうか、会場をあとにしました。
「驚嘆」という二文字がずっと頭から離れませんでした。
シフはこれまでCDなどでよく聴いてきた演奏家です。
解釈もピアニズムも素晴らしく、尊敬する演奏家です。
しかし考えてみれば生で聴くのはもしかして初めてかもしれません。
演奏は期待通りでしたが、普通の2倍くらいあるボリュームのプログラムを弾いてしまうという、これはもう神の領域に入っていると感じ、そのことにまず驚嘆しました。
何かそういう自分の我とか欲とかを通り越して、神の技がシフを通して流れているという印象でした。
次から次へと紡ぎ出される音は確固たる信念をもち、その音楽は説得力に溢れたものでした。
ミスタッチひとつもないあの集中力、質の高さを目の当たりにし、シフの体力、頭の中は一体どうなっているんだろう?と驚きました。
さらには、各会場でのプログラムが被っていないことにもびっくりです。
どれだけたくさんの曲を暗譜しているのでしょう!?
あまりにすごい記憶力。
このような方を真の巨匠というのでしょう。
そして身じろぎもせず、舞台上に座ってシフの解説の通訳を務められた奥様、塩川悠子氏のお姿も印象的でした。
私のぎっくり腰は驚異的な回復力でよくなり、もうほぼ支障はないのですが、しかしこの長い3時間半にも及ぶコンサートでは同じ姿勢を取り続けていることが辛かったです。
しかし、本当にいってよかったと記憶に残る驚嘆のコンサートでした。
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